上手くいくシェアオフィスでの起業生活
資金力に限界のあるベンチャー企業の、新たなワークスタイルの一つとして完全に定着した感のあるシェアオフィス。最近では「費用を負担すれば誰でも“入れる”シェアオフィス」など、種類も増加しており、シェアオフィスの”そもそも論”、つまり「もともとシェアオフィスとはどういうワークスタイルなのか?」が分かりにくくなってきました。
今回は、起業の場としてシェアオフィスの”そもそも論”に焦点をあて、よいシェアオフィスの条件や、シェアオフィスでうまく共同生活するためのポイントや注意点を紹介します。
(2015.11.19 更新)
あなたをもっと知りたい!シェアオフィスとは?
「シェアオフィスが好きなんです。起業するならシェアオフィスで!」
シェアオフィスが大好きな起業家でも、シェアオフィス、レンタルオフィス、コワーキングスペース。。。よく似た名前のオフィス形態の違いを知らない人も多いのではないでしょうか?
シェアオフィスは、一つのオフィスに複数の企業や個人事業主が同居するオフィススタイルです。それぞれの企業や個人事業主は一定のスペースを専有でき、専有スペースの広さはデスクひとつ分ほどが一般的です。
スペースをレンタルしてレンタル料を払ったり、施設利用料を払うようなスタイルではなく、あくまで賃貸したスペースの家賃を、複数企業や個人事業主で分担するという形式です。
しかし、最近ではブースで仕切られていたり、逆に専有スペースを設けないフリースペース型なども見られるようになってきました。また、広く同居企業(同居人)や利用者を募集し、料金を支払えばだれでも使用できるという施設も増えてきています。
「人生いろいろ、オフィスもいろいろ」です。
こうしたスタイルは厳密にいえばレンタルオフィスやコワーキングスペースに分類するべきでしょうが、浸透度もあってかシェアオフィスを名乗る施設は依然として多いようです。
開業資金を低く抑えられるのが最大メリット
もちろん、同居する企業や個人事業主との相性は大事ですが、創業時にはキャッシュも大事です。
シェアオフィスの原点は、気心の知れた仲間同士が家賃をだしあってオフィスを借りる「同居」です。したがって、シェアオフィスの最も大きなメリットとして、家賃を含めた開業資金が「低」く抑えられる点が挙げられます。
シェアオフィスを選ぶ際には、開業資金を低く抑えられるような契約が可能かどうか?また、そもそも同居する気心の知れた起業家仲間を見つけることがポイントになります。
シェアオフィスは起業家というオトナ達の社交場
シェアオフィスで働くメリットの一つに、同居者とのコミュニケーションの垣根が「低」いというポイントが挙げられます。
円滑なコミュニケーションの中から優れたビジネスアイディアが生まれることも多い、というのは周知の事実。複数の企業が参画するプロジェクトでは、そのためにオフィスを借りる場合もあり、その有効性は実証済みといっていいでしょう。
ノマドワーキングという概念が定着した今日では、特定のオフィスに定着せずシェアオフィスを「渡り歩く」個人事業主も珍しくありません。創業直後の起業家や個人事業主はときに孤独になりがちです。シェアオフィスは、そんな彼らがつくるコミュニティの社交場としても機能しています。
互いに切磋琢磨できるベンチャー起業家や個人事業主達が、コミュニティに居るかどうか?また、そのコミュニティの雰囲気が良好かどうか?なども、シェアオフィスを選ぶ時のポイントです。
シェアオフィスを利用するなら責任と覚悟を持とう!
仲間同士で借りるシェアオフィスは、誰でもできる、誰でも入れるというものではありません。一緒にオフィスを借りる仲間がいるからといっても、実際にオフィスを借りるとなればクリアしなければならない多くの課題があります。
初期投資になる開業資金が低くなること、同居人とコミュニケーションの垣根が低いという、2つの「低」によるメリットがあったが、いざ、利用するとなると、それなりに「高」い責任感と覚悟が必要になるのです。
良好な関係は割り勘から!費用負担を分担する
その一方で、シェアオフィスでは割り振られた費用を負担しなければならないという責任が生じます。よって、知らぬ者同士がオフィスを共同で借りることはまず考えられません。
まず、シェアした企業(個人事業主)が決めるべき点は家賃や光熱費、保証金などの案分。2社なら2分の1づつ、3社なら3分の1づつが妥当だが、例えば作業スペースが必要だったり、電気機器の使用が多かったりという同居者がいる場合、均等ではかえって不公平になります。複合機などを導入する場合は、その使用頻度も違うでしょう。
やっぱり人間関係は大事です!
「金の切れ目が縁の切れ目」などと言うように、お金の話を率直に話すのは、結構体力がいることです。こういうお金の話を率直にしても気まずくならないような、気持ちのよい起業家・個人事業主仲間の存在は必須だと言えます。
先ほどは、先立つものはお金だ!と言ってしまいましたが、実はお金より何よりも必要なのはシェアオフィスで同居する仲間(企業)との人間関係です。お金の話をしたときに気まずくなるようば関係なら、一緒にオフィスを借りても結局上手くいかなくなるでしょう。愛(信頼)があって、初めてお金の話もやりやすくなるのです。
また、細かくいえば、貴重品の管理や戸締り、清掃などのルール、来客時の対応や非常時の備えなど、取り決めておくべき項目は膨大な量になります。
気心の知れた者同士、その都度決めていけば良いと考えられるかもしれませんが、互いにビジネスの場として利用している以上は最低限の規則を作っておくべきでしょう。
同居人とは分担して家賃を低く抑え、仲良く仕事を楽しむ。一方で、最低限のルールや、費用分担などお金の話はキッチリ決めて、引き締めるべきところは引き締める。これが、シェアオフィスで楽しく起業生活を送るコツでしょう。
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(監修:オフィス経営コンサルタント 久保純一)
(編集:創業手帳編集部)