ご存知でしょうか?大分県には「ベンチャーファクトリー大分」という独自の創業支援制度があり、「大分県ベンチャーサポート施設」に指定された民間シェアオフィスに入居する創業者は、入居賃料や事業経費の一部補助などが受けられます。
その他にも、創業者に手厚い独自の支援体制が整いつつある大分県。今回は「大分スタートアップ連合」と呼ぶべきその様子と、県内の代表的なシェアオフィスを紹介します!

(2016.1.20更新)

「大分スタートアップ連合」とは?

編集部が「大分スタートアップ連合」と名付けた大分県の創業支援。それは、中心市街地に偏在しがちな支援機能を分散させることで、創業者が「大分のどこで起業しても、ある水準以上の創業支援を受けられる」二つの施策から成り立っています。

ひとつは、前述の「ベンチャーファクトリー大分」です。
創業者にとって、毎月支出されるの「オフィス賃料」は泣き所のひとつ。しかし、一般的な自治体では、賃料や事業経費の一部補助が受けられるのは、行政が設置する「インキュベーション施設」に限られます。施設は数に限りがあるため、どうしても支援範囲が絞られることになります。

大分県では、それらの支援機能を県内に点在する民間のシェアオフィスに移植し、広範囲かつ効果的な支援を行っているのです。

大分県の創業支援施設「おおいたスタートアップセンター」

大分県の創業支援施設「おおいたスタートアップセンター」


もうひとつは、創業者を多方面から支援する「インキュベーションマネジャー(IM)」の育成です。
日本全国で活躍しているIMですが、資格を得るには東京でのみ開催される「IM養成研修」を受けなくてはなりません。そこで、大分県は研修を県内でも開けるように取り計らい、地域活性化を志す県内各地の人々が、簡単に支援ノウハウを習得できるようにしたのです。

このような取り組みのなかで、次第に盛り上がりをみせつつある大分県のスタートアップシーン。以下では、それを支える代表的な3つのシェアオフィスを紹介します。

「ハードはシンプル、ソフトはホンモノ」の極意:UNITED SHARE

白基調のシンプルな内装がカッコいい、「末広オフィス」

白基調のシンプルな内装がカッコいい、「末広オフィス」


「UNITED SHARE」は、2009年に誕生した大分県初の民間シェアオフィスです。大分駅前に立地する、全面がフリーアドレス席の「末広オフィス」と、国道197号線沿いで個室オフィスを備える「東津留オフィス」の二店舗を運営しています。

このシェアオフィスの特徴は、「シンプル・イズ・ザ・ベスト」。二店舗とも、オフィスとしての機能を備えながら、「余計なもの」を一切無くし、ハードの全てがシンプルかつコンパクトにまとまっています。

一方、入居者の支援など「ソフト面」は超一流。オーナーの酒井氏は、過去に有機栽培農業や食品流通会社など、なんと5回もの起業経験をもち、Sr,IM(シニアIM)の資格も持っています。ちなみに、Sr,IMが運営するシェアオフィスはここが日本初とのこと。オーナー自身の実体験に基づく豊富な実践ノウハウと、Sr,IMの体系的な知識に基づく支援が受けられる、日本でも数少ないシェアオフィスなのです。

個室オフィスや会議室などのプライベート空間が揃う、「東津留オフィス」

個室オフィスや会議室などのプライベート空間が揃う、「東津留オフィス」


「起業で大事なのは、最初の事業計画とボケない焦点」。酒井氏はそう話します。創業初期の段階で綿密な計画を練り、それに基づいて事業の将来を見据える。これが創業の秘訣だそうです。詳しくは、ぜひ酒井氏にお尋ねを!

キーワードは「女性ならでは」:シェアオフィスin高城102

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「シェアオフィスin高城102」は、高城駅と新日鐵正門を結ぶメインストリートに面するシェアオフィスです。

大分で、インテリア雑貨&アートショップ「La Vita Felice(ラヴィータフェリーチェ)」やインテリアコーディネート業を展開する、株式会社マイスペースが運営していることもあり、武骨さと洗練が同居するオシャレな内装が魅力的です。解放感があり、机の移動も自由自在なので、起業家やフリーランスの方だけでなく、スクールやセミナーの開催場所としてもつかえます。

このオフィスの特徴は、IMの武田氏をはじめスタッフが女性のみであること。女性起業家の抱える疑問や問題意識は、同じ女性だからこそ理解できるものも少なくありません。また、女性ならではの視点は、事業のブラッシュアップに大いに役立ちます。女性起業家にとっても、女性の意見を参考にしたい方にとっても、「シェアオフィスin高城102」は最適の場所と言うことが出来るでしょう。

別府温泉にそびえる“Zの称号”:Alliance Social Share Office Beppu

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別府市には、一棟まるごと大分県指定のベンチャーサポート施設という壮大な民間ビルがあります。その名も「アライアンスタワーZ」!各階が起業家の入居でにぎわう当ビルの4階にあるのが、「Alliance Social Share Office Beppu(ASO)」です。

他の階が壁で仕切られたプライベートオフィスなのに対し、ASOは入居者同士で場所をシェアするコワーキングスタイル。「ひとりぼっちよさようなら」というコンセプトの通り、有機的なコミュニティや入居者との「横のつながり」を大事にしたい起業家にはもってこいのスペースとなっています。

また、ASOは通常のビルよりも天井が高く設計されていますが、これは「天井の高さが発想の豊かさに関係する」という学術的な研究結果に基づくものだそうです。他にも、外を見渡せる大きな窓、広くて開放的な間取りなど、右脳を刺激する様々な工夫がふんだんに取り込まれ、クリエイティブな活動を支えています。

「別府の特徴は、観光地としての商売人のスピリットと、立命館アジア太平洋大学(APU)などの活発な異文化交流です。」IMの宮井氏は語ります。商売気質と多様な価値観の受容、設計思想に裏打ちされた最適な場、そして近所(徒歩1分)にある温泉!ASOは、“Zの称号”にふさわしいシェアオフィスなのです。

まとめ

ここまで、大分県内の3つのシェアオフィスを紹介しましたが、それぞれがオーナーやIMの特徴に根ざした、個性的なものばかりでした。

以上の3つのシェアオフィスは、いずれも①「ベンチャーファクトリー大分」の指定施設、②IMが常駐している、という「大分スタートアップ連合」の条件を満たしています。

こういった施設は、まだまだ大分市内に多いですが、上の条件を満たす「連合加盟オフィス」が、現在周りの市町村にも誕生してきているとのこと。
これからどんな個性的なシェアオフィスが誕生するのか、楽しみですね。

(創業手帳編集部)